平成17年3月17日(木)
春の彼岸法要
雨の彼岸法要、粛々と。
 
 日々寒暖を繰り返しながらも確実に「春」が近付いてことは、木々の緑で実感できる。ところがあいにくの雨。久しぶりの雨だから草花は喜ぶだろうが、人にはちょっと小寒く、外には出にくい。
・・・が、梅花講の皆さんのご詠歌が流れる頃には、三々五々本堂が埋まっていく。
「雨だけど、思い切ってきたわ」
「お墓、お掃除しといてよかったわ!」
知り合いだろうか、清々しく顔と顔がうなずき合っているストーブのまわり。
周囲のイス席から先に占められていく。時の流れだろうか?
時間通りに鐘が鳴り、ご近在の和尚様方がご本尊さまの前に左右に並び、方丈さまが入堂される。香を炊き三拝、皆も続く。心をこめ、お密湯やお菓子、茶をささげる「献湯菓茶」を終え三拝する。般若心経を唱え回向文が読誦され、一同三拝にておつとめが終わる。
続いて「彼岸法要に移ります」の案内にて三拝、檀信徒も併せて修証義4、5章が唱えられる。
「生を明らめ死を明きらむるは仏家一大事の因縁なり…」で始まる『修証義』は、道元禅師さまのお書きになった『正法眼蔵』の要約版ともいえるお経で、5章からなっている。全編やさしい言葉で書かれているが、内容の奥は深い。明治23年の暮、ちょうど今から115年前に公布され、仏教では最も新しい経典だが、成り立ちから「古くて新しいお経」と、親しまれている。
全員で唱え焼香が終わり、再びご詠歌が流れる。
引き続いて愛知県祖父江町の永張寺からお出掛け願った、遠島満宗老師から法話をいただく。師には平成14年にもお話をいただいている。
 歴史は大切であり少し紐解くと、と前置きし、「生命」の世紀が始まると言っていた21世紀だが、「9.11」センタービル崩壊にて、大きな争いが始まり表向きは、米国の一方的な勝利に終わった。仏教では「負ける方が学ばれる」「争いは必ず双方が悪い」と教える。柔道でもまず受身から習う、つまり負け方から学ぶのである。米国も1500人という犠牲者を出しているが、
「来世は イラク人かも ブッシュさん」の川柳を呈したい、と笑わせた。
本題に入り、モノを大切にすること、もったいないという心の大事を説き、皆に平等にある持ち時間にも @時計の時間、A目的達成までの時間=ゴールを示す時間、B今、生きている時間の3つがある。中でも、今をいかに生きるか、生きるとは死に方を考えることであり、生死は紙の表裏のようです、と「現在あること」の大切さを強調された。
夫婦が相手に先立たれると男性が平均5年、女性が22年にて亡くなるというデータを引き、柔軟な生き方の重要性を述べる。しかし、最近では男性の趣味も増えてきて、自分の世界をもつようになったと会場には少ない男性にも明るい情報を伝えられる。
また、長い入院から帰っての句「妻がいて 厨に 芋の煮える音」「この屋より 帰るいえなく 角に立つ」などから、妻の存在をもったいないと思う気持ちが大切と会場を眺めなおし、澤木興道老師の「手を合わせて夫婦喧嘩をやれ」の言葉も披露された。