平成17年8月23・24日
「禅スクール」開催される!

 暦は正直、若干暑さが弱まった「処暑」の23日・24日と天林寺にて小学校高学年以上を対象にした「禅スクール」が開催された。
第四宗務所の主催によるもので、子どもたちに落ち着いた環境でのマナーや協調性の実践など、ほとけさまに仕える僧侶たちのお勤めの中から生れた作法や知恵を分かり易く伝え、正しい仏教への理解を希望した。

 以前宗務所別に寺院の子弟を対象に行われていたそうであるが、時は移り、講師も代替わりしカリキュラムを組み直しての復活を果たした。
 内容は朝・昼・晩のおつとめの間に、坐禅、食事作法、講義、作務、写経と大人顔負けの厳しい日程であるが、説明―体験―質疑応答とマンツーマンの指導にて子どもたちを飽きさせず、納得いくまで説明する。従って興味も湧き、習得するのも早い。2~30代の若い僧侶もそれぞれの担当分野の中で、難しい仏語や専門用語を熱心にわかりやすい言葉で解説、目の高さを合わせてリードしていく。

 二日目、昼前の「日中諷経」…昼のお経…の講座を覗いてみた。
 法要の進退ならし(法要の始まりと終わりの合図の鐘鳴らし)を互いに教わり、自ら鳴らす。次に木魚、鏧子(けいす=かね)と移るが棓(ばい=木魚を叩く棒)が重くて思うような音が出ず、てこずっている。それでも多くの練習の結果、指導僧に誉められるとニッコリと笑う。のみこみは早い。質問の口調は「タメ語」だが瞳はキラキラと輝いていて気持ちがいい。宗務所長の天林寺住職も大衆の役その1?を務めながら参加、静かに研修の全容をも見守る。名実共に宗務所挙げての行事である。
 通しの練習を3回こなし「本番」を迎えた。徐々に口数がへり動きはすばやく、真剣味が伝わってくる。結果、今までで一番いい、と見えた。短い時間だが子どもたちの学習力は目覚しく、回を重ねるたびに「サマ」になっていく。導く僧も受ける子たちもその「進歩」を実感し共有しているようだ。声には出さぬが「やった!」の喜びが堂内を満たす。子どもたちの眼が生き生きとしている。
 講評は導師役の僧侶から、「共同作業の心構え…いっしょに勉強や仕事をするときには相手のことを考えて気持ちよく動く…の大切さがわかってもらえたと思う」と分かり易く語られた。
 暫らく休会していて手探りで始まった「禅スクール」であろうが、子どもたちは勿論のこと若い僧侶の皆さんも「何か」をつかんだようにお互いの会話もスムーズになっていく。ゆったりと時間が流れる寺の境内で「なし終えた充実感」に浸る子どもたちの面持ちは傍で見ていても、実に気持ちのよいものだった。
 後々どんな人生を送るかは誰にも判らぬが、この2日間は、深く子どもの心に刻まれ貴重な体験になることでしょう。