平成17年9月20日
秋の彼岸法要・清興の会
 「朝夕はめっきり・・・」と挨拶し合うが日中はいまだに暑さが残っている。
時折の風は、湿気を含んで重い彼岸の入り。1時20分ご詠歌が始まる。先に墓地に詣でた人、先にお位牌堂に手を合わせた人たちが席につく。
「お経を頂かないと来た甲斐がありませんもん」つぶやきながら席につくひと。うなずき、チラッと会釈する隣席の人。徐々に席が埋まっていく。うなる扇風機。
 定刻、鐘の音を合図にご住職の文元大和尚が入堂。緋の衣が目にまぶしい。
厳粛の中、ご本尊、釈迦牟尼仏、両祖大師(道元禅師、瑩山禅師)ご開山さま(傑堂義俊禅師)歴代ご住職、檀信徒諸霊に三拝、献湯菓茶(お密湯と菓子、茶をご本尊に捧げる)の後、般若心経を唱える。  
 ご詠歌をはさみ、「彼岸法要に移ります」のご案内があり修証義を唱える。堂宇に響く読経の中、一人ひとりに香炉が廻され、焼香をした。
 ご先祖の安らかなご冥福を願い、生きている自らの幸せを感謝する彼岸法要はいつものとおり厳粛のうちに終了した。
 続いての清興の会は『能』鑑賞第二弾!
15年秋のお彼岸にお目見えし、大好評の為、このたび二回目公演が実現した。
 のっけから『土蜘蛛』が演じられ蜘蛛の糸が会場いっぱいに拡がった。「キレイ!」驚く人、沸く会場。
「一般の皆さまには分かりずらいでしょうね」と、室町時代『能』の誕生から今日までの足跡を話して下さる。易しく丁寧な解説はユーモアたっぷりで、飽きさせない。客席に声を掛け歩き方の体験までさせて頂いた。
「すり足の基本は・・・」「扇の要をおさえ、腰を入れて・・」と手とり足とりのご教授である。
「次は、面の紹介・・・」と間近に解説を受ける。続いては、『高砂』の有名なひとくだりを一節づつ口伝され、唱和した。
「おめでたい席では略し、忌み言葉を変えます」と秘策?まで伝授して頂く。会場からは「今日のお土産にしよう!」と勢いにのった声。笑う会場。
 座がすっかり和む頃、舞台では決して見られない装束の「着付け」が始まる。初めて見る小道具や着物が次々に解説つきでつけられ、『高砂』の主役が仕上がっていく。納得のうなずきとため息があちこちで起きる。本堂はすっかり「能舞台の楽屋」?  
 頭をつけ、面(おもて)をつけると更に装束が映える。準備を終えて豪華な衣装がぐるり一回り。歓声が沸く。
いよいよ結びの演舞となり、固唾をのんで妙技を堪能した。あっと言う間もないほど魅了させられた数分間だった。
「いい物を見せてもらった」「こんな近くで、ステキ!」は、ほとんどの人。
「この次はいつかしら?」中に、気の早い人も居られた。