平成18年2月11日(土)
初午大祭
初午大祭、多くの人が集う! 楽市大盛況、お茶席は華やかムード 

 朝6時から開店の準備を始めたのは初登場のやきそば屋さん。長躯、富士宮市からの参加である。新鮮な野菜を売るひとたちも早い。参加店も増え、山門前に2店舗が陣取っている。横断幕に華を添えるようで、楽市の雰囲気はいやが上にもあがる。天気は快晴、気温もこの時期としては穏やかといえよう。
 ただ、名物のからっ風がオトナシクしていてくれると、いいが・・・。

早い出足とするどい選択眼
 並べる最中から子供たちがおもちゃの品定めに忙しい。店の前を行ったり来たり。子供ばかりかと思ったらご婦人方も野菜の前を動かない。品薄の昨今、野菜を選ぶ目はするどい。熱心なお客さまを前にして売り手も力が入る。今年の特長は食べ物やさん、お菓子屋さんが多いこと。あちこちから湯気が立ち、いい香りが漂ってくる。いよいよ器が温まり、味見が始まった。
「うん、よし!」さぁ、開店準備完了だ。
「売り手も 買い手も 楽しんで・・」
 10時きっかりにご住職のごあいさつ。「年に一回のお稲荷さんのお祭りです。どうぞ、皆さん楽しんでこの日をお過ごしください」、やさしい言葉に各店主の気持ちが高ぶってくる。お客さまの出足はいい。日差しが温かく風さえなければ、ぽかぽか陽気と言いたいが天気予報とは違い、北からの風も結構出てきた。しかし、お客さまの足は途絶えない。
 恒例の田中道夫さんによる「大道芸」が子供たちを惹きつける。第一回目の公演である。たちまち本堂前は人の輪ができる。親に背中を押され、「お手伝いに出てきた児」のずった足取りが愛らしい。
天真閣は 華、華、華、
 宗徧流のお茶席は正座が苦手でも気軽にお茶を楽しめる立礼と2席が設けられた。
 広い待合にはたくさんのお客さまが控え、一度に20人の方がいただける立礼席は人気がある。お着物を召した方も多い。静かな中にも華やいだ雰囲気はあたりの空気を引き締め、且つ心落ち着けるものがある。
 表では「いらっしゃい、新鮮だよ!」の声、一歩天真閣に入れば静寂と優雅さ。そこが、天林寺初午の妙、と言えるのかもしれない。
寒風、更につよく
 午後から冷たい風が強くなる。人手が少し落ちる。例年通りといえばその通りだが、異常に暖かかった数日前を思うと、ひときわ寒さが身にこたえる。
 大道芸実演に続き『Fifty Shoulders』が初登場する。自ら「五十肩楽団」と名乗り、肩の凝らない演奏活動を続けておられる“こころ青年”の中年トリオである。2曲目あたりから会場の雰囲気が変わってきた。和やかと言うか、選曲の懐かしさも手伝いゆったりムードが漂い始め、境内の耳目をひとり占めし始めた。その優しい調べとハーモニーの見事さ。ありがとう。「五十肩」さん!
 定刻どおり3時より萱垣稲荷荼枳尼真天の法要が始まる。大般若の転読もされた。
約30分のご祈祷が終わり、ご祈祷を受けた縁起餅が投げられる。
 ワーの大声で最初の餅が空を飛ぶ。手が挙がる、背伸びする、転がる餅、追っかける。あちこちから催促の声が聞こえるが、「ワー、ワー」に押しつぶされる。餅が飛ぶ、声が追っかける。宙で手づかみする人もいる。
 5分くらいで収まる。互いに目で収穫を確かめ合う。あちこちで笑い声が生れ、肩を並べて家路につく。何度も“収穫”を数える人もいる。しかし、風はさらに強く冷たかった。
来年もいい天気にしたい。