平成19年7月15日(日)
山門施食会
 お盆と共に台風が北上し始めた。沖縄の島々に爪あとを残して…。
時折強く降る雨、蒸し暑くなると大変だなぁ、と朝の空を眺めていたが「台風は勢力を納めつつ…」のニュースにひと安心。と、安堵する間もなく青空も垣間見えてきた。まさに「台風一過」の好天気!ご先祖様のお導きか?と恐れいる自然界の千変万化ぶり。
 本堂には新亡家を中心に多くの檀信徒が参集された。蒸し暑い中、首振り扇風機の風が待てず扇で仰ぐ人、ハンカチを揺らす人、それぞれに忙しい。時折、南北に通り抜ける涼風が汗を吸い取ってくれるようで、ありがたい。

自らを見つめよう。
 井上貫道老師(掛川市少林寺住職)の法話をいただく。
 昨今の皆さまに申し上げたい、と一呼吸をおいて「最近は皆さまが、ご自身の有り様に、疎かになっているのではありませんか?」と切り込まれた。
 「マスコミをにぎわす悲惨な出来事や無責任な組織の不祥事もさることながら、個々人も身近な暮らしの中で自分の姿をもっと見つめてもらいたい。自分自身はどんなことを思っているのか、何を考えているのか、何がのぞみでどんな努力をしているのか、世間の風潮を批判したり、人のせいにする前にわが身に問い、語りかけてもらいたい」。
 さらに、昨今、人々はことに及び思いが届かず問題が生じると、すぐ他人…自分以外のひと…を意識し、「自らの先に人に目を注ぎ、原因などを転化したりしていないでしょうか?」と。
  しんと静まる堂内。さらに分り易く「鉢植えの花」に例をとり、路地植に移したら、土が合わなかったり肥料のやりすぎで枯れてしまった。肥料は煩悩でしょう、と欲はあるが、なすべきことに疎くなっている昨今の風潮にも一石を投じられた。短い時間だが、興味深いお話の展開でうなずかれる頭が波の様に動いていた。
 
ご詠歌の流れる中の2時過ぎ、打ち出される鐘に従い法要が始まった。
 
真の心をこめて
 ご本尊様にお密湯、お菓子、茶をささげる「献茶湯」があり、列席の檀信徒の掌が合わされ法要は始まった。多くの僧侶が無駄のない動きの中で、粛々と進めていくお勤めに、満堂の視線は釘づけとなる。初めてなのか、身を乗り出して一挙手一動足を見つめる子供たち、やがて飽きてむずかる幼児ら。時折の鐘の音に、敏感に反応する動きが周囲の微笑みを呼ぶ。
 般若心経が唱えられた後、再びご詠歌「♪寝ても覚めても・・・」としめやかに堂内に響く。
 続いて寺施餓鬼に移り、新亡家をはじめ檀信徒様、三世十方法界の万霊を供養、新盆のご家族から順に精霊棚に水を手向け、法要は終了した。 
 例年通りの19時、山門前では精霊送りの読経が行われ、檀信徒をはじめ多くの市民が参拝された。台風ははるかに北上し治まったらしいが、やはりお盆らしく、暑い暑い一日であった。