平成20年7月15日(火)
山門施食会
 じっとしていても汗ばむほどの蒸し暑さ、真夏日、猛暑日と新聞は書きたて、木々のセミは相変わらずかまびすしい。湿度の高いのは身体にこたえる。いっそ梅雨が早く明けてくれぬかと思う。
 総代さま方による、新亡家の受付が忙しい。お供物も持ち込まれ本堂に並べられる。喪主を務められた方をはじめご親族も座を占められる。ご詠歌が流れる。鉦の音にいったん声を止めたセミが再び輪唱をし始める。
扇風機の首振りが待てず扇で仰ぐ、ハンカチを揺らす、それぞれに忙しい。今日は特に、南北に吹き抜ける風がない。

自らが、自らを、大切に…
 法要に先立ち井上貫道老師(掛川市少林寺住職)の法話をいただく。
 もっと自分自身が主人公になって日々を過ごすように。他人や世間の問題ではなく自分の問題として自らが感じること、思うことを実感してみよう、と言われる。また、人のせいにする行為が目立つ、とも指摘された。静まり返った本堂には深くうなずく頭があちこちで波を打っていた。
 清々しい法話が心に残り、ご詠歌の流れる中、鐘が打ち出されご近在の和尚さまがたが入堂、左右向かい合わせに立つ、やがて導師が入堂される。法要の始まりである。

手を合わせ、ご先祖と向き合う

 眼にも鮮やかな黄色の衣に身を包んだ方丈が香をたいた後、五体投地の礼拝を三度繰り返す。和尚さま方に続き檀信徒も三拝する。堂内が一つになる。導師が本尊様にお密湯、お菓子、お茶をささげる。「献湯菓茶」といわれ、一つ一つ礼を重ね手渡しに運ばれる。静かな中でそれぞれの僧侶が無駄のない動きをされ、粛々と進めていく姿に満堂の視線は釘づけとなる。流れる絵のようだ。初めてなのか、身を乗り出して一挙一動を見つめる新亡家の席の人。大鏧(だいけい)が鳴り経題が読み上げられ般若心経が唱えられる。掌を合わせる檀信徒たち。
 再びご詠歌「♪寝ても覚めても・・・」としめやかに堂内に響く。
 
 続いて寺施餓鬼に移り、新亡家をはじめ檀信徒様、三世十方法界の万霊を供養、新盆のご家族から順に精霊棚に水を手向け、法要は終了した。
 薄暮の19時、山門前では精霊送りの読経が行われ、檀信徒をはじめ多くの市民が参拝された。
今年も暑い暑い一日であった。