令和元年7月15日(月)
山門施食会(盂蘭盆会)
どこで生きていますか?
 一時半、鉦の音と共に侍者らを従え井上貫道老師(掛川市少林寺ご住職)が入堂、五体投地の三拝をされ高座に上られる。法話の講師として遠路お願い申し上げている。
 静まる堂内。一呼吸おき、優しい声で、「皆様はどこで生きておられますか?」と自らの胸や頭を指しながら堂内に問う。 余りにも唐突に問われ、答えに窮し、さらに静まる参列者たち。
 現実の出来事が、自らの思いが入ってゆがめられないか?人は勝手に自分の中でそれぞれ思ったり、悩んだりして生きていく。しかし、事は事実として存在するので自らの「思い」の中で悩んだり、苦しんだりしないように…。やる前から、直面する前から悩まないように…と自ら招く煩悶の無駄を諭される。
 そして、「実践」することの大切さを結びの言葉として残され,座を降りられた。
 お話しされる間、うなづき頭を上下させる連動があちこちに生まれ堂内に満ちた。分かり易く、やさしく語られる言葉だが、発想の違う考えに額をはじかれた思いがし、次に「あぁ…そうか!」と納得、ラクになった。

あらゆる亡き人への供養…施食会
 いつものとおり、新亡家(初盆のお家)の受付は玄関先。総代さま方が若い和尚さんの手助けを受け、供物などをお預かりしている。
 本堂ではご詠歌が流れ、新亡家の皆さんが指定された席へ陣取られる。三連休とあって若い人…、子供連れも目立つ。立ち上がり泣く児をあやしつつ待つ人もいる。雨こそ降らないが曇天の日の本堂は、すべて開け放されてはいるが蒸し暑い。扇風機や風の通り道から席が埋まっていく。やがて、壁への張り出しに往来する僧の姿も減り、ご詠歌のリンの音だけが響く。
 本堂の西の殿鐘が鳴らされ遠方での鉦が鳴り、大きくなり本堂に届く…静まる堂内。
 
それぞれが掌を合わせ、手向ける
 導師の文元方丈が入堂。焼香、五体投地の礼拝の後、案内の声に居並ぶ僧侶にならい檀信徒も掌を合わせ、三拝。法要に入る。
 献湯菓茶(ご本尊様に蜜湯、菓子、茶をささげる)を終え、経題に従って読経する。
 続いてご詠歌の♪寝ても覚めても…が詠われ、精霊棚に対面する位置に導師が移る。他の僧侶もそれに従う。
「山門施食会に移ります」の案内がかかり、ふたたび読経。続いて導師は、檀信徒をはじめ三世十方法界の万霊、そして東日本大震災の犠牲者への供養を告げる。経を挟み、満を持して新仏の戒名を奉読される。新亡家の身内は読み上げをじっと聴き入る。
 引き続いて読経に入り、案内の声により新亡家のご家族から精霊棚に向う。水を手向け、掌を合わせご先祖さまに祈り、法要は終了した。

薄暮の中、精霊をお送りする
 夕方七時、方丈さまはじめ僧侶が山門前に出座、精霊送りの法要が営まれた。折しも薄暮から始まり、夜のとばりが降りる頃に法要も終了した。