令和2年2月11日(火)
寒波去って、陽光まぶし
 昨日までの寒波が納まり、天林寺山に光が差してきた。暖冬とはいえ早朝の冷たさは身に応える。しかし、木の間越しの朝日は力強く地面を差す。冷気の中、一直線に降り注ぐ光は輝くばかりか熱気を運んできているようにも思える。雲もなく今日一日を占うかのように力強い光線は頼もしく、終日輝いていてほしい…。おそらく、準備中の面々にも共通する思いであろう。
 初参加のお店を含め40近い区画には人が立ち、商品が積まれている。テントの骨組みも置かれお店の概要がうかがい知れる。大道具が整いひと段落つくと互いに声を掛け合う余裕も生まれ、隣同士、日頃の無沙汰を詫び合ったりしている。
 9時半少し前、備え整った会場の雰囲気を察して開会が宣言される。当山の方丈のご挨拶である。相変わらず優しく気安い語り口に境内も治まり、静けさが流れる。本日の主役「萱垣稲荷荼枳真天=かやがきいなりだきにしんてん」にあやかるお話も終わり、客の催促もあって各店が動き出す。さぁ開店、開店、商売開始!である。
 本堂をのぞくと稲荷講の福引に列ができていた。数ある景品の山から選ぶのに慣れないこともあろうが、例年になく多くの人が訪れている。
 玄関先では名物の「あまざけや」が幕開け、戸惑いながら小声で「もう一杯?」を言う人もいる。微笑みながら応じる和服にエプロン掛けの女性、…おそらくお茶会に参じる人の応援であろう…多忙な裏方がしのばれる。
 天真閣では宗徧流のお茶席が始まった。立礼席もあり共ににぎわっている。この席の特徴は高齢の方から保育児までが会する。南面する保育園では4~5歳児へのお茶の手ほどきが持たれるそうだが、それが功を奏しているのかしらん?
 ハーモニカ演奏に続いてバンドも浮かれ、風船を手に持つ子供も目立ってきた。風もなく恵み?の太陽を背にお店も活発に動いている。早くも額に汗する主人もいる。
「静かだから、お墓のほうをひと回りして帰ろうと思うの…」孫?の手を引いたご婦人がにっこり笑ってくれた。引かれた、もう一つの手には緑のゴム風船がしっかり握られていた。
午後も風のない、静かな一日であってほしい…。