令和2年7月15日(水)
山門施食会(盂蘭盆会)
コロナ禍の法要準備
 世界的な新型コロナウイルス感染拡大により、政府は緊急事態宣言の発令をし、その後、五月末近く東京および隣接県、北海道を残し解除した。しかし、政府・専門家の間では、二次感染などの恐れもあり国民にマスクの着用や「三密」を避けた生活指針の励行を促進、国民に自粛を強く求め六月を迎えた。
 当山では、本山、宗務庁、地元仏教会の対応方針を参考に檀家総代様、関係者などとの協議を重ね、出来る限りの対応措置で施食会開催を決定した。

初めての対応にも関わらず、当日は…

 例年のとおり、新亡家(初盆のお家)の受付は玄関先。会話の飛沫防止のため、透明の遮断フェンスを三か所設け、総代さま方が若い和尚さんの手助けを受け、供物などをお預かりしている。代わりにお渡しするのが、「禅の友」と御しるしのタオル、そして予防の薄いゴム手袋(…精霊棚の水向け用であり、片手のみ)。
 受付を済ますと本堂に向かう。すでに文書にてお知らせしてあるように、一家庭二名様までのご参詣が守られ、午後一時の開始を新亡家席で待つ。席は急遽簡易椅子が用意されソーシャルディスタンス?の間隔にて座る。ウイークデーとあって子供の姿は見当たらず、隣席が遠いので会話も少なめである。  
 午後雨の予報が出ているが、曇天の本堂は全ての障子が明け放され扇風機が全開するも蒸し暑い。やがて、壁への張り出しに往来する僧の姿も減り、本堂西の殿鐘が鳴らされると遠方での鉦が呼応、徐々に大きくなり本堂に届く…いよいよ静まる堂内。

それぞれの想い、で掌を合わせ、手向ける
 導師の文元方丈が入堂。墨色の多い中、涼しげな衣の色がひときわ目立つ。きびきびと焼香、五体投地の礼拝の後、案内の声に居並ぶ僧侶にならい檀信徒も掌を合わせ、三拝。堂内すべてが法要に入る。
 献湯菓茶(ご本尊様に蜜湯、菓子、茶をささげる)を終え、経題に従って読経する。

 続いて、精霊棚に対面する位置に導師が移る。他の僧侶もそれに従う。
「山門施食会」に移り、ふたたび読経。
終わって、導師は檀信徒をはじめ三世十方法界の万霊、そして東日本大震災の犠牲者への供養を告げる。経を挟み、満を持して新仏の戒名を奉読される。新亡家の身内は読み上げをじっと聴き入る。
 引き続いて読経に入り、案内の声により新亡家のご家族から精霊棚に向う。水を手向け、掌を合わせご先祖さまに祈り、それぞれの想いを胸に席に帰る。コロナ禍の中、第一回目の法要は終了した。

薄暮の中、精霊をお送りする
 夕方七時、方丈さまはじめ僧侶が山門前に出座、精霊送りの法要が営まれた。時節柄、薄暮から始まり夜のとばりが降りる頃には法要も終了した。
雨は終日降らず、梅雨の晴れ間の静かな盆供養であった。