令和4年1月11日(月)
大般若会・新年拝賀式
 コロナ感染も下火になりつつあるかと思いきや、新型オミクロン株の感染拡大の情報が連日伝えられ落ち着かぬ正月明けである。寒波に見舞われ日本列島が震える中、我が静岡県は雨模様、浜松の地は風強く、横殴りの雨となり車の乗降時さえ濡れねずみと成りかねない。
 雨脚は衰えないが集合時間に後れを取る人はいない。和尚さま方は時間に厳しく、案内通りに来山される。車を降りカバンと傘を手に小走りに玄関に入られる。濡れた衣服をぬぐう間もなく声がかかり、そのまま新年のご挨拶となる方もおられ、控えの間へ向かう途中では互いに笑顔も生まれている。
 定刻十一時、すでに本堂には各寺院さま方が並列され総代さまも座につかれている。殿鍾が打たれると呼応して鉦の音が届き導師の入堂が知らされる。やがてお付きの僧を従え導師が入堂、一気に緊張感につつまれる。
 ご本尊様に向かい導師は線香を供え一礼、続いて香を焚いて一礼する。
 鉦の音に従い、導師はじめ僧侶の皆が五体投地の礼拝を三遍くりかえす。総代様もならい、その場で掌を合わせ三拝する。案内があり、新年ならではの「散華(さんげ)」…道場を清める行い…が丁寧になされる。
 次にご本尊様に「献湯菓茶」がなされ、経題が読まれる。早い調子での読経。やがて導師の振鈴で、六百巻、約五百万字に及ぶという仏典中最大のお経…『大般若波羅蜜多経』の転読に移り、陀羅尼を唱えながら次々と経本が読み込まれる。すべて読み終えた後は、ねんごろな読経へと移った。
 あらためて正面に目を凝らせば、須弥壇に般若札が二つの束となっている。檀信徒家の平安、無事を祈祷した札で、各戸に配られるのである。
 新たに献茶湯がなされ、「新年拝賀式」へ移った。ご開山・傑堂義俊禅師さまへのご挨拶である。参同契、宝鏡三昧の経が唱えられ、方丈をはじめ連なる僧たちは矜持を正し、焼香された。つづいて檀信徒の皆様を代表して総代さまも焼香され、年の初めのご挨拶を申し上げた。

 つつがなく法要を終え、導師の方丈より新年の賀詞に加えての一言があり、導師は退堂、解散となった。
 ご臨席の関係寺院の僧侶はそれぞれの座を離れ、改めてご本尊様に三拝をされて本堂を後にされた。厳粛な式を終え、一僧侶としてご開山への矜持を示された、ように思え、清々しい感情に浸された。