令和4年3月18日(金)
春の彼岸法要
春は近い。だが、コロナ禍で…
    
 五波六波と続くコロナ禍の中、彼岸会(ひがんえ)も3年目を迎えた。予防ワクチンの接種も3回目を経験した人が多い。そして、新聞・テレビ・その他情報ルートで連日にぎわっているのがロシアのウクライナ侵攻。民族・風土の違う地での紛争はわかりにくいが人の血が流されている惨状は見過ごせない。遠い地ではあるが、一日も早い停戦・終息を望みたい。
 
 例年にない寒波の襲来も収まり、急に温かさが増してきたわが郷土、「春が近い…」を実感する。しかし、コロナウイルスとの格闘は続き、3月21日までまん延防止法の実施が指導されつつあるが、むしろ人々の関心は「その後はどうする」とのこと。不要な外出自粛、帰宅時の手洗い、マスク装着の励行などには慣れつつ一方では冠婚葬祭など人間の出会い、別れにも大きな変化が生じている社会生活だ。また、経済活動も消極化せざるを得ず、シャッターを降ろし休日の延長をうたう店も常習化してきた。とはいうものの、早くも値上がりや店の淘汰も始まり、大きな転換を強いられる予感がする。
 人の集まりや催事が縮小、中止される傾向のある中、本山の永平寺に於かれても催事、会議等には慎重で従前の方針・・・三密を避け檀信徒の健康を守る・・・姿勢に変わりがない。しかし、ご先祖を想う気持ちに添うべく今年も当山のみの陣容にて彼岸法要をお勤めさせて貰う運びになった。

ただひたすらに、祈り、誓う
 急に暖気が巡ってきたかと思ったら肌寒い朝を迎えた。春に三日の暖かさなし、の例えのごとく衣服の切り替えもむつかしい。今日は本堂に置かれたストーブの存在がありがたい。
しばらくして僧侶たちが並列して待つ。
 定刻1時半、本堂の鐘が鳴らされる。呼応して遠方から引磐(いんきん)が響く。呼応する鐘と鉦。繰り返しの間隔が縮まり音も大きくなると、送迎の僧を先頭に導師が入堂される。続くは侍者、侍香の僧たち。導師は鮮やかな緋の衣。速やかに須弥壇に向かい焼香される。 
 次に五体投地の三礼、導師にならって和尚さま方、そして指示に従い参会者らもその場で三拝する。今まで静かな堂内に、衣の絹づれ、足袋のすり音のみが響く・・・。
 次に釈迦牟尼仏、高祖、太祖、ご開山さま方に献湯菓茶を呈し、読経に移り般若心経を唱和する。

「彼岸法要に移ります…」のご案内
 ご案内の言葉に従い導師以下、参会者一同が三拝、まず経題が告げられ修証義が唱えられる。朗々と堂内を満たす経を耳に浴びながら、唱和する人、忙しく和尚さま方の動きを追う人、目を閉じ聴き入る人、経の文言にうなずく人、中には首をたれ全身?で聴く人もいる・・・。
 人それぞれにご先祖をしのび、今あることを感謝し、今後の精進を誓っての参詣かと拝察される。
 読経が続く中、回し香炉が檀信徒ひとり一人に渡され、本堂を一巡りする。それぞれ先祖様への謝恩と家内の安全を祈念し、香を焚かれた。まもなく彼岸会法要は無事終了した。
 外に出ると、陽は中天にあったが空気は冷たかった。