令和4年9月20日(木)
秋の彼岸法要
台風一過、曇天の下…。

 数日前からの台風情報で、大きな規模・ゆっくりした進度・本州をも襲いそう…と報道され、それなりの「覚悟」をされた方も多い。昨今よく耳にする「線状降水帯」に覆われると、局部的に雨が降り、強風も重なることもあるから心配でもある。
 いわゆる「油断ならない」状況下におかれたが、20日早朝の強雨を最後に当地の「台風」は納まり、本体?も東北沖に抜けて熱帯低気圧に変わった、と電波は伝えている。今回も各地に大きな被害をもたらしたが、九州はじめ被災者の皆さまには心からお悔やみ申し上げます。
 盂蘭盆会に続き緊急事態措置法適用という指示に従い彼岸法要が営まれた。台風下に加え天候不安定の余波もあってか出足の遅かった檀信徒さん方は静かに開式を待っておられる。コロナ禍ゆえに皆さま自主的にマスク着用で、座る席も間隔を置いている。

 鐘が鳴らされ本堂内に緊張が走る、開式である。やがて、侍僧を従え導師が入堂される。きびきびとした動きで本尊さまに線香を持って一礼、香を焚いて一礼する。次に、導師は座具を広げ五体投地の礼拝を三度繰り返す。和尚さま方も倣う。同時に参会者も維那和尚*の合図を頂き合唱、礼拝を三遍繰り返す。
 献湯菓茶…ご本尊様にお蜜湯、お菓子、茶などをささげ、読経に移る。
 法要はご開山傑堂義俊さま、31世大圓禅覚大和尚までの歴代住職さま方、そして、檀信徒家ご先祖さまの亡き霊に祈り、感謝し、子孫の安らかな暮らしを願うことにある。彼岸法要は仏教の盛んな国の中では日本独自の行事であり、24節句の春分・秋分の日を中日として前後3日間、の1週間を指す。
 資料によれば、聖徳太子の頃より始まったといわれているが、平安時代初期から朝廷で行われ江戸時代に庶民の間でも年中行事化し、在家の信者はこの間、寺参り・墓参りを行うのが習わしとされた。此岸(迷いの世界)から彼岸(悟りの世界)へ向かう仏道精進ともいえる(『岩波仏教辞典』より)。

 維那和尚の経題読み上げの後、読経に入り法語の奏上と続く。やがて香炉が回され、参会者全員が焼香の後、読経も終えて導師退堂、閉式となった。
 続いて清興の会(日頃のお疲れをいやすお楽しみ会)が…と続きたいが、コロナ禍ゆえ本年も延期となり、ご参会の皆様はマスクを直しつつ「全く参ってしまいますね」「治まってくれると良いですが…」と、お互いを労わりつつそれぞれの家路に向われた。
 朝夕急に涼しくなり、「秋」を実感できる日が続く。今日は台風の行く末がスッキリし、曇り空の下ではあるが、気持ちは軽やかに思えた午後だった。
 *維那和尚(いのう和尚)
  僧堂を管理し、経題や回向文を読む僧。監寺の意味もある。