令和5年7月15日(土)
山門施食会(盂蘭盆会)
 昨年に引き続き、檀信徒の皆さまにはお知らせをして、15日の「寺施餓鬼」は午後1時と3時の2回に分かれ執り行われた。
 お世話人さま方をはじめ近在の和尚様方のお世話で、受付が切り盛りされる。ご供養料やお供え物を預け、ねんごろな「ご苦労さまです」の言葉と感染予防の薄いゴム手袋を頂く。一瞬、戸惑いで手が止まる方もいるが、「精霊棚の水向け用です…」に納得される。
コロナ禍のもたらした新風景である。

 受付を済ませ本堂正面に向かう。極力、密をなくすようご協力をお願いした、ご一家2名様までのご参詣が守られ、スムーズな流れである。
 須弥壇の東西に用意された椅子が開式前にはほぼ埋まる。座布団より間隔のある椅子席でもあり、会話も少なめ、本堂内は静かである。数台の扇風機はうなり首を振っているが、開け放しの窓からの風は勢いよく、精霊棚の笹の葉を泳がせ、燈明の炎を揺るがせて堂内を走る。もちろん、扇や団扇の出番はない。梅雨明けは遠いが、この風は有難い。

二回に分けて、ねんごろに営まれる
 大鐘・小鉦の予告を経て、導師の文元方丈が入堂。涼やかな衣に目が引き寄せられる。師はきびきびと焼香、礼拝される。案内の僧が「僧侶にならい檀信徒も合掌、礼拝!」と一声。皆は波打つよう倣(なら)い、全堂挙げて法要に入る。
般若心経を読み上げ、導師が精霊棚に対面する位置に移り、僧侶達も従う。
「山門施食会」に移り、読経。終わると導師は檀信徒をはじめ諸精霊の供養を告げる。続いて経をはさみ、個々に新仏の戒名を奉読された。

 経が続く中、新亡家のご家族は精霊棚に向い、水を手向け、ご冥福を祈る。そして、それぞれの想いを胸に席に戻る。コロナ禍とはいえ旅立った人への思慕は計り知れなく、深く重い。
 
 第2回目の法要は3時より始まり、空いた椅子席を探すほどの人数が参加された。

 夕闇迫る中、山門前にて
 19時、方丈さまはじめ僧侶が山門前にご出座、精霊送りの法要が営まれた。
 檀信徒に限らぬ近在の善男善女も集い、にぎやかな夕宵となる。中には幼子の手を引く方もおり、街の風物詩ともいえる。
 薄暮の中、徐々に灯りが鮮やかさを増して一日の終わりを告げようとする。しかし、それもつかの間、アッという間に長い陽が落ち、夜のとばりがおりる。ところが暑さだけは収まらず、風もない…。人々はそそくさと家路を急ぐ。
 今年の夏は特に暑く、厳しいと言われている。
 
 もう、その頃には読経も終わり、法要も無事終了していた。