令和6年9月19日(木) 秋の彼岸法要 |
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流れる汗をこともなげに… 「秋は来るのか?」と不安に駆られる昨今の気温、「残暑厳しき…」の語も使えない。なんと、40度に近い気温で湿度も高く外出も難儀、いまだに酷暑が続く彼岸の入りとなった。 すべて開け放された本堂に扇風機がうなっているが、開式前に参じた檀信徒さま方は湿度を含んだ風はあてにせず?静かに開式を待っておられる。コロナ禍時とは違いマスクの着用はまれで、異常な暑さを嘆くことなく、ひたすら仏さまご先祖さまに誠をつくす姿のように伺えた。 近在の和尚様方が入堂され、黙して須弥壇を挟んで東西に並列。本堂内に緊張が走り「開式まぢか」が皆に伝わる。 期せずして殿鐘(本堂南西)が鳴らされ、侍僧を従えた導師の方丈が入堂される。ゆったりした足運びであるが、確かな動作で本尊さまに線香を捧げて一礼、香を焚いて一礼する。 次に、導師は座具を広げ、五体投地の礼拝を三度繰り返す。和尚さま方も倣(なら)う。同時に参会者も維那和尚*の合図に従い合掌、礼拝を三遍繰り返す。ご本尊様、ご開山さまやご先祖様へ、開式のご挨拶である。 続いて、献湯菓茶…ご本尊様にお蜜湯、お菓子、茶などをささげ、読経に移る。 |
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彼岸の法要は、ご開山傑堂義俊さまから、先代…31世大圓禅覚大和尚までの歴代ご住職さま方。そして、檀信徒家のご先祖さまの亡き霊に祈り、感謝し、子孫の安らかな暮らしを願うことにある。ご存じの方もおられようが、仏教が伝わる国の中では珍しく日本独自の行事であり、24節句の春分・秋分の日を中日として前後3日間…の計、1週間を指す。 仏教辞典などによれば、「聖徳太子の頃より始まり、平安時代初期から朝廷で行われ、江戸時代には庶民の間でも年中行事化し、寺参り・墓参りを行うのが習わしとされた」とある。此(し)岸(迷いの世界)から彼岸(悟りの世界)へ向かう仏道精進の道ともいえる(『岩波仏教辞典』より)。 維那和尚さまの経題読み上げの後、読経に入り法語の奏上と続く。 経が流れる中、香炉が回され参会者全員がその場にて焼香。やがて読経も終えて導師退堂、閉式となった。 |
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「早く暑さが収まり、秋風が吹くよう…待ちくたびれますね!」と、労わりの言葉を掛けつつ、皆さまは本堂を後にされた。 *維那和尚(いのう和尚)…法要の際、経題や回向文を唱える役僧。 |