平成21年5月30日(土)
第18回 仏教に親しむ会
『般若心経のこころ』
講師 ひろ さちや  さん
「南無そのまんま、そのまんま」
 舌きり雀の昔話に例を引き、つづらの大きさと中身は貰う人の「こころ」を反映しているのですよ。余りに欲張りですと中身は化け物ですよ(笑)、と会場に笑いの波を立たせ、般若心経の「空」は、アルと思うからアルので、みんな見る人受け取る人の気持ちが思わせているのです、と例え話の中で解説された。
 当意即妙のユーモアに会場は沸きに沸いたが、嫁姑、親子、夫婦など暮らしの中でギスギスした人間関係が生じても、仏さまから預かった命だから本人のせいではない。「そのまんま」がその人の生き方だから、と自分で作ったものさしで人を量らないことを勧め「南無そのまんま、そのまんま」と会場にも呼びかけ唱和し、大笑いを誘った。

般若とは、問題を解決しない智恵
 般若とは「知恵」の意味であるが、問題…病気とか、貧乏とか…を解決しない「智慧」をいい、その状態で幸せになることを考えよ、と心経では教えている。病気は治るまで治らない…そのまんまで幸せになれるよう考えよう、と会場をぐいぐいと導いていく。
癌は治らない。患部を採るだけ。免疫力は自分の体の中にある。しかし、治癒力は永久ではない。自らといえど仏さまの預かりものであり…使用権はあっても所有権はないと断言された。
 講演後の質問、「死後の世界とは?」には、「行ってないから分かりません」と述べつつ、しかし、仏教でははっきりと『莫妄想(まくもうぞう)』…妄想することなかれと言っている。死後のことなど心配しなくていいですよ、の意味であり、他人の仕事まで取り上げなさんな!とニッコリ笑って応えられた。
 大きく優しいモノサシの言葉に、聴く人の大半が救われた想いを抱かれたのだろうか、「ほぅ」と低く落ち着いた声が響いてきた。