平成21年9月20日
秋の彼岸法要・清興の会
日差しきびしい秋の彼岸会
「清興の会」に釘づけ

 
 雨の心配はない。ご先祖様へのお参りを心に秘めゆっくりと坂を上るひと。孫まで含め三代と思しき家族が車を横付けし、順に降りる。世話を焼くおばあさん、走り回る幼子。檀信徒の皆さまが鐘の音を聞き本堂に急ぐ。法要の始まりが告げられる。空は抜けるように高い。

静かに待つ
 ご詠歌が流れる中、位牌堂で手を合わせていた人も急ぎ戻る。先より椅子に掛け待っていた人も居住まいを正し、座を占める。遠くの鐘の音が徐々に近づくと、緋の衣の泰覚文元大和尚が入堂。立ち並び待つ、近在の和尚さま方の間を歩み進み焼香。
 静寂が続く中、ご本尊、釈迦牟尼仏、両祖大師(道元禅師、瑩山禅師)ご開山さま(傑堂義俊禅師)歴代ご住職、檀信徒諸霊に三拝九拝。その都度鮮やかな緋色がまばゆく流れていく。般若心経を唱える。
 ご詠歌をはさみ、「彼岸法要に移ります」のご案内に続き、修証義を唱える。読経の中、参詣の一人ひとりに廻された香炉に焼香、掌を合わせ祖先に感謝し、偲んだ。

話術と熟練ワザにしびれる…
 時をおかず清興の会に移る。東京より駆けつけてくれた、初お目見えのやなぎ南玉師匠の出番である。方丈の紹介を受けてはかま姿で登場する。ブラジル、カンボジアにも公演された経験を持つ師匠が軽妙な自己紹介を加える。軽い笑いを取った後、特にお願いした「江戸曲独楽」の由来や往時の口上を解説、実演していただいた。
 夜の寄席出番にいったん帰京、明日からは名古屋大須での出演と忙しい南玉師匠。惹きこまれる話術に乗せられ、時間いっぱい、熟達のワザにヒヤヒヤ、ドキドキ、溜息も出るわ、力も入るわ!の60分余であった。息を呑んだトリ芸の興奮冷めやらぬ中、手が挙がり質問が出ると言うノリの良い・・(・・と)な「清興の会」であった。
  
 掌に汗の 肩に力の 彼岸かな

*トリ芸=寄席で最後に出演する者…「トリ」から、最後の芸の意