平成22年9月20日
秋の彼岸法要・清興の会
残暑きびしい彼岸会
雅楽に酔った「清興の会」

 
 三連休の人も多い本年は昨日に続きご先祖様へのお参りも賑やで、打ち出し前にもかかわらず本堂への集まりが早い。東の間には擬宝珠が光る朱の欄間が設えられ、火炎飾りの太鼓や琴が置かれている。お楽しみ「清興の会」の備えであろう。置かれたままであるが、そのみやびで落ち着いた風情は位牌堂への行き帰りに、いやでも人の眼を惹いていた。

粛々とご先祖に対す
 ご詠歌が流れ、打ち出しの鐘が時の到来を知らせる。さらに位牌堂から、正面玄関から人が急ぎ参じる。須弥壇に向い手を合わせ、座る。かまびすしいが扇風機は不可欠。少し暑さが引いたとはいえ、風のない日は音の伴う涼風と言えど、ありがたい。元より椅子に掛けじっと待っていた人も居住まいを正し、座りなおす。既に内陣には近在の和尚さま方が対面、侍立されている。鐘の音が近づくと きぬ擦れが耳に届き、緋の衣の泰覚文元大和尚が入堂。立ち並び待つ和尚さま方の間を歩み進み焼香される。
 静寂の中、ご本尊、釈迦牟尼仏、両祖大師(道元禅師、瑩山禅師)ご開山さま(傑堂義俊禅師)歴代ご住職、檀信徒諸霊に三拝九拝。続いて般若心経を唱える。
 ご詠歌をはさみ、「彼岸法要に移ります」のご案内に続き、修証義を唱える。敬虔なる読経が流れる中、参詣の一人ひとりに香炉が廻され焼香。それぞれに掌を合わせ祖先に感謝し、偲んだ。

先ずは、越天樂
 仏教伝来と共に伝わった「声明」よりも古く日本最古の音楽といわれる「雅楽」を鑑賞する。奈良県天理市に本拠を置く『雅楽翠篁会』のうち14名の皆さんが
長躯来浜してくださった。方丈がご友人を通じて招いた縁である。
 
 午前中からのリハーサルを終え、狭く急ごしらえの会場にも関わらず、誠実に演じていただいた。初めて間近かに観る、今日に続く日本最古の音楽はそれなりの迫力に満ち、懐かしく親しみやすい旋律も数多く、心の奥深くまで響いた。
かの天の岩戸神話に起源を発する歌舞や大陸からの渡来楽舞も併せ持つ雅楽は、三管[笙、ひちりき、横笛]、太鼓、鞨鼓(かっこ)、鉦鼓(しょうこ)などと琴など弦楽器が奏でられる。結婚式などに詠う『越天樂』を皮切りに、蘭陵王などの舞も披露して頂き、短い間ではあったが居ながらにして雅な世界を堪能させていただいた。

笙やふえ かっこ(かっこど)にしびれ 彼岸いり