平成22年10月24日(日)
第21回 仏教に親しむ会
『光に導かれて』 -勅題「光」によせて-
講師 青山俊董老師
 天気予報では夜半から雨、との情報であるが朝からの曇り空は、何時降り出すのか、なんとなく落ち着かぬ。しかし、聴衆のご来場は早く12時ころより人影が見える。13時の開場には受付に混乱が生じるほどで、青山老師への聴講希望者は敬愛と思慕を織り交ぜて熱く、積極的である。
 冒頭、話の「下地に…」とご自筆のレジュメに記された詩が読まれ、人は一人びとり違う命をいただいている…との示唆を与えられた。
 出会いは人生の宝
 「光に導かれて」との演題であるが、お話は幅広くかつ深い示唆に満ち、軽々に聞き流せば「そうだね、その通り…」で終わるが、師の優しい解説を吟味すれば「ずしん」と心の芯に響く。
 「人間の出会いは人生の宝…」とさりげない一言。たった一度の人生を如何に生きるか?を諄々と説いていく。出会いも人柄も自らの判断が正しくなければ宝物とならない。アンテナを高くして正しい判断をしたい。悲しみ苦しみの経験が人生のアンテナの役をするが、「光」に照らされてこそ初めてわが身の闇を知らされる。
 「鉄砲は外に向かって撃つが、仏法は内に向けて打つ…」の言葉を引き、我が身の非に気づかされていきます…と語られる。また、「投げられた所で起きる小法師かな」の句から、失敗にこだわらず、そこが正念場としてコロリと起きあがる意気がほしい、一方「過ぎ去れるを追うなかれ思うなかれ、今日唯今に立ち向かえ」とこだわる気持ちでなく現実の大切さを強調された。
 
 時間の使い方…
 時間は共有のもの。「時間の使い方は命の使い方」といわれる。お互い様ゆえにどう使ったらいいのか?一瞬一瞬が「命を生きる」こと。雑にしたら用事も雑用となり、有用な時間を多くするよう仕事に向かいたいものです、と大切な心得をやさしく説かれた。
 
 お話を結ばれた後、質問にも丁重にお答えになり予定の時間は超過した。しかし、師の去った会場で名残惜しそうに語り合い、余韻を楽しむ方や連れだってご著書を小脇に山を下る後姿から「感動」というお土産を頂戴し満足されたように見受けられた。