平成23年2月11日(金)
初午大祭
冷たい雨の中の「初午大祭」
     テントの中で『いらっしゃい、いらっしゃい』


 寒波襲来が伝えられていたが、10日前ごろからの「降雪」予報がぴたりと的中?雪ではないが、情け容赦ない雨が降り続く朝を迎えた。雲に覆われた低い空からの雨はしとしとと、止みそうもない。更に冷えてくれば雪になる心配も充分考えられる…心細い限りのスタートだ。

冷たい雨に手間取る準備
 しかし、熱心なお店の方は7時ころから活動しだし、テントの柱などを運び込んでいる。半過ぎには屋根?が葺かれ、色とりどりのテントが数か所立ち上がり始めた。
 「生憎だねぇ」「選りによって、今日だなんて、ね!」ぼやく言葉が飛び交うが、手は止めない。次々と品物を運び込み、店を整えていく。ところが、服地や紙製品など水を嫌う商品は厄介だ。テントを途中まで張ったが、止む気配のない雨脚に「残念だが…」と撤退を決意、参加辞退を申し出る方も出た。
 「テントはないけど、何とかやってみる…」とビニールシートを張る店もある。車のハッチを跳ね上げ、脚立を活用したりして…。

熱意で雨をはねのける…?
 いつもより手間をかけた準備を経て10時過ぎに方丈のご挨拶が始まり、「開店!開店!」となる。
3区画に商品を並べ20余名の参加で張り切る、ライオンズクラブの皆さんをはじめ初参加のお店は3店、返り咲きは1店、準備の都合で欠席店も出て、都合38店が参加オープンした。しかし、境内はほぼふさがり欠席店の跡は気にならない。割り当て区画よりテントが大きく、はみ出しているからだ。
 本堂前の通称?ステージに出し物の一番手、『ハーモニカ演奏』が始まるといつもの楽市ムードになってきた。冷気の中、岩崎さん、藤谷さんの演奏は続く。吐く息が白く見えたりする。しかし、メロディが届くと店主たちの動きは軽やか…に見えてきた。
大繁盛の「あまざけや」
 今か今かと待たれていたのが、楽市名物の甘酒。手足からの冷えに、まず茶碗の暖かさが応えてくれる。ぷーんと甘酸っぱい香りにのどが鳴り、胃袋が催促する。フ〜ッと吹いて一口含む…。熱めのとろみがのど元を過ぎ、すぐに甘さが追っかけて来る。体内を走るぬくもりと甘味が全身に行き渡るようだ。ひと時の「しあわせ感」。「うまーい!」「あまーい!」
「アァア、おいしかった…」
 あわただしく茶碗を戻して子供が駆け出してゆく、雨をものともせず…。
大道芸の始まりだ。

次々と新作…大道芸、笑顔生む風船
 やさしく呼びかけ雰囲気を盛り上げる大道芸の田中道夫さん。いつしか子供たちの輪に囲まれている。付き添いの親や祖父に目配せしながら田中さんの手元を見る。笑顔が生まれ、半々の視線はやがて釘付けになり『虜』になる。指名され嬉々として助手を努める子もいる…とは言うものの、次々と展開する仕掛けに大人もつい引き込まれる。
 感心するのは毎年違う出し物、その進化振りは驚きであり、人気の源でもあろう。
 一方、子供たちが片時も離れないマジックバルーンの岡野さん。次々とリクエストに応えて形作っていく。じっと手元を見つめつつ出来上がるまで不安気な子供たち。岡野さんの魔法の手で風船が希望の動物になったトタン、してやったりとニッコリする児の顔が生き生き。どの児もはじけるようないい笑顔、天真爛漫とはこのことを指すのだろうか。
会話も止める、チーム『桜々』
 ステージは真打、酒井章英さん率いる『桜々』が登場。メンバーは美形三人に袴にスキンヘッド!
初めて聴く…否、見る人はこのカルテットに驚くが、1曲聴けば心和やか、これまた『虜』になる。今年もTVでおなじみの新曲を奏でると例年にぎやかな一角の大人たちも口をつぐんで耳をそばだて…暫しの静けさが漂う。

忙し、楽し、緊張感あふれるお茶席
 天真閣ではお茶会が盛ん。雨にもかかわらず多くの方が集う。この席の特徴は幼児も堂々と交じってたしなんでいる事。ちょこんとイスにかけ身動きも少なく、「場」をわきまえている。脇の母親も落ち着いて一服召されている。お寺で行われている保育園児への「お茶会」の効果?ほほえましく温かい雰囲気に、更に味が深まるひと時でした。
うれし福引き、たのしい投げもち
 檀家や近在の皆さんの楽しみは『福引』。今年もラッキー!残念!を織り交ぜての
抽選が展開された。雨のため鈍いかな、と思われた福引も出足好調。
「これを引かないと一年が始まらないのよ」と常連客。「去年良かったのでね…」とゲンを担ぐ人…。狙い?は別にしても、共に笑顔で語り合い、それぞれ景品を抱えつ別れていく…。覗いた愉しげな「出会い」は今年もたくさん垣間見た。地味ながらも脈々と続く催事の妙味を覚えて思いでした。

 一方、ご祈祷後の投げもちは天候ゆえに参加者は例年より少なく、競争率?がすこぶる低く「餅きれない」人もいたようでした。しかし、天候ゆえに運営上ボランティアの皆さんには大変ご苦労をかけました。開設準備、電気・音響担当、お食事接待、等々のご協力に心から感謝申し上げます。

静岡新聞の記事です。