平成23年6月4日(土)
第22回 仏教に親しむ会
『一日一生』
講師 酒井雄哉大阿闍梨
 2度の千日回峰行を成就された酒井雄哉大阿闍梨をお迎えしての仏教に親しむ会が開催された。

 「浜松はお見えになったことはありますか?」と尋ねると「二度目です。株屋のときに来たことがありまして…駅がきれいになりましたなぁ」と懐かしそうに車窓からビルを眺めておられた。講演の席では「ヤマハに来たことがあります…」と気さくに紹介された。お話の中でも、阿闍梨と呼ばれているが特別の人間ではないし、ごく普通の人間ですよ、と謙遜される。
 行半ばで挫折したときには命を絶て、と言われて持たされる懐剣を離さず、49歳で7年をかけて千日回峰行に挑んだ。満行後、半年を経て再度千日回峰行に挑み8日間の断食、断水、不眠、ふが(ふが断)の堂入りを2度果たし、生き仏さまと敬われる。
比叡山の歴史の中でも2度の満行は3人しか居ないが、80キロを歩く京都大廻では多くの善男善女が低頭し、数珠で触れてもらう。その光景はまさに「生き仏」の姿そのものである。
 お話は修行から得た実感を細かに話されたが、700日を終えて師匠らに振舞う会食も実は葬式の代わりであった、6年目の800日が終わると下足で参内する京都御所…、堂入りのときに生死を確認に来る先輩阿闍梨たちの話、と臨場感溢れる内容に会場は水を打ったような静けさが続いた。

 お話を結んだ後も質問に気さくに答えられ、にこやかに会場を去られた姿は「優しい和尚さま」そのものであった。