平成25年9月20日(金)
秋の彼岸法要・清興の会
妙技に、思わず悲鳴…の大道芸
古典落語はじっくりと聴く
 ――天林寄席は大盛況――

    
 朝夕はすっかり秋もよう…だが、日中は30度を越える日々が続く。寒暖の落差が激しく、服装に気が抜けないご婦人方、男性も半ズボン姿は消えた。幸い、湿度は低くカラッとした空気が気持ちよい、20日の彼岸入り。
  
静かに向き合い、祈る…
 始まりを知らせる殿鐘(本堂に吊るしてある鐘)が鳴らされ、近在の和尚さま方が対面、直立されて待つ。緋の衣をまとい白い袈裟の方丈が入堂。袈裟に施された金の刺繍が光の加減で反射、荘厳さが生れる。衣擦れが大きく聞かれ白い払子を手にされた文元方丈が僧の間を進み、焼香される。案内があり、一同もこれに従い三拝する。
 ご本尊、釈迦牟尼仏、両祖大師(道元禅師、瑩山禅師)ご開山さま(傑堂義俊禅師)歴代ご住職、檀信徒諸霊に三拝九拝。続いて般若心経を唱える。
 ご詠歌をはさみ、「彼岸法要に移ります」のご案内に続き、修証義を唱える。
 やがて荘重な読経の中、一人ひとりに香炉が廻されその場で各人が焼香する。椅子から降り、正座しなおして香を握る人、何度も頭を垂れ静かに掌を合わせる人…、それぞれが祖先を偲ぶ、それぞれのひたむきな姿が見られた。 
「あっ」と意気をのみ…「きゃぁ…」
 日ごろのご苦労をいやす「清興の会」が始まった。方丈の紹介で、まず江戸大神楽・丸一社中の菊仙さんが登場。「日本にしかない二本撥…」なんて軽妙な口上で小手調べ、会場の目を一気に独り占めする。次から次に妙技を披露、アッ!キャー落ちる!と会場を大いに沸かせた。

得がたいお噺を楽しむ…
 続いて登場は三笑亭笑三師匠。「上から読んでも下から読んでも…」と自己紹介し、「米寿を迎えました…」と丸くなりがちの背中をすっと伸ばす。会場からは大きな拍手。…見えない、お若い、の小声。
 まずは「まくら」と言われる小話を続けた後、古典落語の『悋気の火の玉』をじっくりと語られた。
 以前も数回高座に上がって頂いたが、思い起こすと最初は25年ほど前になる。ご自身でも話を作り、新作ものを得意としているが本席のように長編を披露いただけるのは珍しい。控えに戻られた師匠に伺うと「皆さん聴いてくださるようでしたので…」とさらりと述べられた。
 普通の寄席では高座に上がってから演目を決めるというが、まさにその伝で「天林寄席」に集った人は“聞く耳を持ったお客さん”と見られ、珍しい長編を聴けたという訳であった。