平成26年2月11日(火)
「初午大祭」大にぎわい!
朝から晴れて、心うきうき
 山門に掲げられた楽市の横断幕が輝いている。8時前と言うのに出店者の車が山を登ってくる。境内に書かれた地割に従い、それぞれが「店」を作り商品を並べていく。本年新参加の3店も周囲を見ながらあれこれと工夫を凝らしているようだ。
 天真閣も人の出入りが激しくなる。晴れ着が小走りに行きかう。本堂下を見やればマイクが林立、アー、アーとテストが繰り返される。時にハーモニカやウクレレも混じり聞こえくる。   
 階段を昇り堂内を覗くと稲荷講の皆さんが抽選会の準備に忙しい。見栄えがいいように景品を並び替えたりしている。先日来の寒波体験から、覚悟していた気温より「若干のゆるさ」があり「まぁこのくらいなら…」なんて慰め合ったりしている。まったく今年の寒波はきつい。

客足早く、30分繰り上げて…

 9時25分になり方丈が挨拶をされる。ユーモアもあり優しい心情がうかがえ、境内のあちこちから笑顔が生まれる。「…それでは大いに愉しまれますよう…」と結びに入ると期せずして会場から大きな拍手が沸いた。
 さぁ開店だ。
 毎年大奮闘のバルーンアートの岡野さん。目ざとい子供たちに追いかけられて早や大忙しの体。若い母親や孫の手を引いたおばぁちゃんも順番を待っている。大きな体を右に左に揺らしながら形作っていく。ウサギだね、ミッキーだね、とたちまち人の輪ができていく。
 おや、ハーモニカの演奏が始まった。浜北区小松にある古橋ハーモニカ教室に通う兄弟弟子?の岩崎武夫、藤谷弘氏が出演してくれる。今年は“にぎやかし演奏会”と銘打っての参加だが、手足や唇もかじかむ寒さのなか、30分2回のステージを勤めてくれる。朴訥な解説を交えての進行に好感が持てる…との評もある。
 何やら子供たちがそわそわし出した。風船の列に並ぼうか、迷っている。と言うのは、大道芸の田中道夫さんが衣装を改め準備に入ったからだ。早く、より近くで見たい…は誰もが望むところあり、子供たちの嗅覚?はすごい。
 さて、当の田中さん、衣装や小道具の確認に余念がない。テープに吹き込まれたBGMに乗ってアクションは演じられる。テンポ良く演じ続けるには細心の注意が要る。そのための仕掛けは万全を要し、本人の呼吸と合わないとユーモアも驚きも消えてしまう。いわゆる、「間が抜ける」ことになり座がしらけてしまう。それゆえ、例え45分のステージでもテンポにあった演出…アクションと語りのかみ合い、が求められる。ベテランの田中さんでも事前の点検は真剣だし緊張もする。

ゆるやかにハーモニーを楽しむ

 今年も『春がいっぱい』メンバーは元気。
粋なコスチュームでリズムカルに爪弾くウクレレ、どっしりと安心感いっぱいのベース、結構な気配りのドラム、泰然とリードするギター。年に一度、本日だけのハーモニーとは思えぬまとまりが人の心をつかんでいく。立ち止まって聞く人、リズムに合わせ体を揺らす人、手を止めて耳だけ集中する人…それぞれの「楽しむスタイル」が生まれる。寒さの中だが、ゆるやかで時に気だるさを生む曲の響きは「春近し」を予感させる。正しく、楽市のオ・モ・テ・ナ・シと言えよう。

花が咲く天真閣、ひたむきの稲荷堂
 年々人数が増えているのはお茶会。控えの間も華やかさが漂い、小声ながらお席への期待感あふれる言葉が行き交う賑やかさ。また、露地から席への空間が良い。きりっと引き締まる思いがする…与えられた中での楽しみ方はそれなりにあるものだな、と感心する。加えて今年は若い人が目立ったお茶会でもあった。
  本来の主行事、稲荷堂の祈祷にも例年になく人が集まった。終始鳥居の下で瞑目し佇む人が数名、周辺のざわめきを他所に祈っている。
あるべき所に人がいて、太鼓の音は力強く境内を響き渡っている…。今年も晴れてよかった。