平成27年2月11日(水)
「初午大祭」大にぎわい!
がらり変わって…和らぐ寒さ
 昨日の寒波もどこへやら、4~5度は上がっている体感温度に行動がスムーズになる。身体は正直であり、滑らかな動きは口数や表情まで豊かにする。1年ぶりの再会に声を掛け合う店主たち。口も手も…全身で店作りの準備が始まっている。7時には境内のあちこちで元気な声が上がり、遠来の静岡組も初参加の戸惑いも見せず店飾りは早い。
 本堂前には各種マイクとアンプが位置を占めている。福引会場の本堂は?と覗く。景品が山と積まれて用意はあらかた整った体、稲荷講の皆さんが一息ついている。しかし、目では賞品の確認をしているのか首がよく回っている。
 天真閣はいかがかと見やると、裾さばきも鮮やかに着物姿が小走りに行き来したり、はかま姿の若者が大道具を持ち込んでいる。ただ玄関前の「あまざけコーナー」に人はなく、名代名物…の幟だけがその位置を示している。仕込みの最中であろうか?

静かに聴く、ご挨拶…
 9時25分に方丈が挨拶をされる。急な法事が入り出発前のあわただしいひと時。「15年になりますかねぇ」と楽市の思い出を親しげに語られる。うなづく店主たち。
 事前に商いの開始を9時30分とお願いしてあったので境内は方丈のひとこと一言が響き伝り、こころ一つに成った。お店の皆さま、お客さまのご協力を感謝申し上げたい。
 さぁ開店だ。
待ってました、とばかりに人の動きが激しくなる。もう既に人だかりが出来るテントもある。今年も人の出足は早い。

ボランティアもスタンバイ!
 大きな身体で器用に風船をあやつっていく…バルーンアートの岡野さん。「今年は楽ですなぁ」と言わんばかりにリズミカルに体を揺らせて傑作を生み出していく。寒気の中、口で膨らます風船作りは見た目以上にタイヘン、やはり寒さはテキなのである。しかし、子供たちの食い入るような視線は熱い。瞬きも揺らぎもせずじっと岡野さんの指先を追い完成を待つ。「まだぁ?」と口には出さぬが凝視する児の固まった姿が訴えている。

 ハーモニカのマイクテストが始まった。古橋ハーモニカ教室の岩崎武夫氏が出演してくれている。「にぎやかしに…」と謙遜しつつ毎年新曲を用意されている。今年からは同門の和久田修氏との競演。唇もかじかむ寒さの中、昼をはさんで2回のステージを勤めてくれる。朴訥な語り口がハーモニカの哀愁感を深める、との評。

 本堂前、子供たちが騒ぎ始めた。準備に入った大道芸の田中道夫さんがメイクを施し、衣装を改めたからだ。進化?し続ける田中さん、顔のメイクアップは際立って斬新。毎々驚きの種をまいている。出し物も飽きさせず常に新しい企画で登場、子供たちの関心に応え、好奇心を満たしている。メーカー勤務を経験されておられると聞くが、常に前進を続けるあたりは長年培われた、進取の精神のたまものであろうか?

今年も『春がいっぱい』メンバーの皆さんはつらつ。
和装僧形のギタリストを要に、キュートなおじさん?のウクレレ、今年も安心感いっぱいのベース、密かに?奥に構えたドラム、と息もぴったり、足場は悪いがバランスは抜群「板」についている。年に一度、本日だけの結成と思えぬ見事なハーモニーが人の心をつかんでいく。じっと聴く人、リズムを取って聴く人、手を止め聴き入る人…それぞれの「スタイル」が境内のあちこちに生まれる。それぞれ心地よいのであろう。かたや奏でる人も気持ちよさそうにスイング…。寒さの中だが、ゆるやかで気だるく流れるリズムはほのかな「やさしさ」を生む。名づけた「春いっぱい」とはこのことか、とふと思われた。

粛々と営まれるお茶会、稲荷堂に集まる目…
 お茶会は2席しつられている。立礼の席はお子さん連れでも楽しんでもらえる気楽な雰囲気。一方、濡れ縁を露地に見立てて渡る本席は厳粛さが漂う。年を追うごとに若き人、中でも男性の姿が目立つようになった。昨今、女性の活発性が謳われることの多い中、日本文化に興味を持ち、理解しようと取り組む男性の登場は頼もしい限り…と若干うわ目目線?で実感、ちょっと温かい思いで天真閣を辞した。

 定刻どおり午後3時には稲荷堂にてご祈祷が始まった。意表をつく調子の太鼓の音に鳥居をくぐり、堂内を覗い、反射的に頭を垂れる人が増えている。読経する僧侶たちの迫力がみなぎる三昧の世界…。身体に読経を浴び、目を閉じてじっと聴きこんでいる人もいる。数年前には見られない光景である。
 年々歳々人同じからず、というが、本来の姿を求める人が少しずつでも増えることを切に望みたい。
 今年も晴れてよかった!