平成27年3月18日(水)
春の彼岸法要
ほのかに春の兆しが…
 いくらかでも寒さが和らぐと「春」の足音が…、と期待するが、正に18日の彼岸の入りは晴天に恵まれ寒さも弱まってきていた。…というものの「来週には寒波が逆戻り…」と報道されており春はお預け、一時的な?暖かさ…、のようであった。中にはご先祖様の思し召し、と感じた人も居られるかもしれない。

「今日はそれでもラクですね」
 例年大活躍のストーブが今年も用意されてはいるが、燃焼中!はわずか。しかも赤い炎は小さい。
 気のせいか近在の和尚様方もゆったりとした仕草で須弥壇前に並列された。相変わらず足早に本堂に登られ、位牌堂に急ぐ人が多いが、ご詠歌の響きに誘われるように本堂のあちこちに座られ、方丈の出座を待っている。いつもならストーブの周りから埋まっていくが、今日は椅子席に人気がある。
 
 殿鐘(でんしょう=本堂の釣鐘)が響きわたる。一瞬会話が止む。中には背筋をすっと伸ばし居ずまいを正す人もいる。遠くで鉦が鳴るのがハッキリ聞き取れる。子供たちがキョロキョロと音の在りかを探し動き出す…たしなめ座らせる大人たち。
 
こころ静かに香を焚く
 鉦の音が徐々に大きくなり近づくと、絹づれの音も加わり送迎や侍者、侍香を従えた方丈が入堂される。方丈はご本尊さまほかへのご挨拶に続き静寂の中、丁重に「献湯菓茶」をされ大衆と共に般若心経を唱える。回向文が読誦され、一同三拝にておつとめが終わる。
 「彼岸法要に移ります」の案内が発せられると再び一同三拝、修証義が唱えられる。ご開山さまを始め各家のご先祖の安らかならんこと、そして、東日本大震災での犠牲者への鎮魂を念じる。読経が響き渡る中、回し香炉が堂内を一巡、参会者それぞれがご先祖様への感謝や家内の無事を祈念され、彼岸会法要は終了した。
「遺された人への手紙」
 今年で9回目になる里さんの詩語りはいつも熱心なファンに支えられている。今回も掛川市から新聞記者の方が見えられ取材された。
 今回は海外赴任中、自ら命を絶ったご主人、その残された奥さまとの交流にまつわる実話であり、終始聴く人の耳目を捉え離さなかった。
 「天林寺さんでの詩語りからいろいろの方面での縁が拡がって…」と里さん自らが語られ、この日を大切に思ってくださるが、今やご活躍の場は全国各地に拡がりお忙しい身である。しかし、今年も櫻より先に、温かい思いやりの花を聴く人々の心に咲かせて下さった。ありがたいご縁である。