平成27年9月20日(日)
秋の彼岸法要・清興の会
秋の彼岸会
静かに、祖先をおもう
 ――上方講談に酔う清興の会――

    
 各地に被害をもたらした豪雨。折悪しく当地にも実害を与え、かつてない恐怖心をも植えつけた。災害は開発に明け暮れ、便利さのみを追求しがちな人間への、自然界からの警鐘であろうか?
 今年も季節の継ぎ手のように彼岸を迎えチラホラ秋を匂わせる、入りの20日となった。
  
想いを込め、頭(こうべ)を下げる…
 朝方から墓参の人が引きも切らず続く。そのほとんどが行き帰りに築地塀工事を見やる。道路から伺える石垣を覆う様子が大工事を思わせるゆえ、良く見える花屋橋に立ち止まり覗き込む人が多い。
 聞けば工事はたけなわ、交通量の多い国道に面し高所ともあって、作業はより確かな安全性が求められ慎重に進んでいるようだ。
 
 本堂の鐘が法要の定刻を告げ、近在の和尚さま方が入堂。やがて、濃藍の衣をまとい払子を手にした方丈が入堂、焼香される。  
 案内があり、僧侶にならい参集の一同も三拝する。ご本尊、釈迦牟尼仏、両祖大師(道元禅師、瑩山禅師)、ご開山さま(傑堂義俊禅師)、歴代ご住職、そして檀信徒諸霊に三拝九拝。続いて般若心経が読まれる。
 ご詠歌をはさみ、「彼岸法要に移ります」の案内、そして修証義が唱えられる。やがて読経の中、一人ひとりに香炉が廻されその場で焼香する。香の漂う堂内のあちこちで掌を合わせ額づき、祖先を偲び自分の今あることを感謝して供養とした。

名調子に時を忘れる…

 ご先祖さまのご褒美?か、お寺独自の心づくしの「清興の会」は大阪から旭堂南鱗師匠をお招きし、講談をうかがった。 
 日ごろはなかなか聞く機会もなく珍しい2席の出し物であるが、誰もが上方講談の第一人者のとりこになった。
 地元になじみの深い武将の活躍振りが名調子に乗り語られ、惹きこまれ、時の経つのも忘れかけたが、さすがに陽の傾きは早い。帰路の下り坂では、細く長い人影にも、ほほ撫でる風にも「秋」を体感できた。