平成28年9月19日(月)
秋の彼岸法要・清興の会
秋の彼岸会
台風接近も忘れる、大笑い。
 ―落語、素踊りを堪能…清興の会―

    
 各地を襲っている豪雨情報と明日は当地にも台風来襲か、の予報が耳に重っているものの19日は意外にも秋晴れの好日。幸い当地方は例年のような台風の直撃はなく、今のところ警鐘ノミ?が続いたからだろうか「嵐の前の静けさネ」などと気楽な言葉も聞かれる。
 ともあれ、朝夕は秋の風情に満ち、思わず深呼吸したくなる冷気が流れている。いつの間にか時節は確かに進んでいる。
  
それぞれの想いを込め、念じる…
 墓参を先に、と花屋さんに立ち寄った後、本堂に上がり位牌堂にてごあいさつ。その後、一時半からの法要に備える人が多い。そこで皆さんの眼は、金襴と緋毛氈の高座と『清興の会』と書かれたタペストリーに注がれる。法要後のお楽しみ、江戸落語の舞台装置である。
 
 いつものように殿鐘(本堂西隅の鐘)が法要の定刻を告げ、近在の和尚さま方が入堂。須弥壇の前に向かい合って立つ。七下鐘(導師の登場を告げる鐘)が鳴らされ、猩々緋であろうか明るい緋の衣をまとい、白い払子を手にした方丈が入堂、まずは焼香される。  
 参列者は案内に従い、僧侶にならって三拝する。僧侶にならうと言うのは、ご本尊、釈迦牟尼仏、両祖大師(道元禅師、瑩山禅師)、ご開山さま(傑堂義俊禅師)、歴代ご住職、そして檀信徒諸霊への三拝九拝のことである。続いて般若心経が読まれる。
 ご詠歌が唱われ、「彼岸法要に移ります」の案内が続き、修証義が唱えられる。やがて読経の中、堂内の一人ひとりに香炉が廻され、大人も子供もその場で焼香する。祖先を偲び自らの今日あるを感謝し、家族の安穏な暮らしを願う、それぞれの気持ちが一つとなる時であった。

粋な至芸に虜(とりこ)になる…。
 引き続き東京より蝶花楼馬楽師匠を迎えての「清興の会」が開かれた。     
 法要が終って出囃子が流れ始めるや続々と参集、およそ100名弱が『天林寄席』の客となった。まずは、おなじみ『時そば』でしっかりと聞く人の心をつかんだ様子。次にマクラにカラオケをふって、素人芸を聞かされる迷惑を扱った『素人義太夫』(別題 寝床)で芸の深さを示された。おなじみの二題を語った後も小噺と洒脱な寄席踊りを披露、本堂に寄席の空気を残しつつ高座を降りた。口演中ひとりとして立つ人もなく、客の大満足は目に見えていた。締めのご挨拶で方丈は、「来年も楽しみにお待ちしましょう」と結んでいたので落語ファンには大きな楽しみが約束された、と言えよう。
 外に出ると雲が低く垂れ、3時すぎとは思えぬ薄暗さ。やはり台風の影響かと、至芸の余韻に浸るのもそこそこに家路を急ぐ人が多かった。