平成30年1月11日(木)
大般若会・新年拝賀式
 急に訪れた寒波は人を急がせ、全身を縮めさせる。西風をまともに受ける天林寺山はなおさら冷たく、寒さはきつく膚に食い込む。人々は下車からの足取りも小刻みに急がせ、風に身を斜めにしつつ足早に玄関に入る。一息入れながらも未だこわばる口調で新年の詞を交わされている。

 11時打ち出しを前にして各寺院さま方は控えの間にて衣を改め、本堂に赴き直立して待つ。総代さま方も座って待つ。殿鐘(本堂西隅の鐘)が鳴らされ、法要の開始が告げられる。鐘に呼応して遠くの鉦が続き導師の文元方丈が出座される。
 導師は線香をもち一礼、香を焚いて一礼する。続いて鉦の音に従い、導師に合わせて大衆…(だいしゅ=一般僧侶)…が五体投地の礼拝を三遍くりかえす、総代もならって掌を合わせ拝する。
 次に新年ならではの「散華」…道場を清める…がなされる。「献湯菓茶」…お蜜湯とお菓子と茶をご本尊仏に捧げる…を終えた後、三拝。経題が読まれ大衆も般若心経を唱える。やがて早い調子で「大般若経」の転読がはじまり経本が扇状に舞う。やがて、すべて読み終えて、その後、また読経へと移る。
 須弥壇には般若札がうず高く積まれている。本年の檀信徒家の平安、無事を祈祷し、札に籠め各戸に配られる。
 ご祈祷会に続き、新たに献茶湯がなされ、ご開山・傑堂義俊禅師さまへのご挨拶「新年拝賀式」が営まれる。参同契、宝鏡三昧のお経が唱えられ、檀信徒さまを代表して総代さまが焼香された。その意図するところは、ご開山さまへの感謝と、自らの精進を誓うところにある。

 粛々とすべてを終え、座をあらためて方丈さまより、ひとこと新年のご挨拶があり、天林寺の一年が動き始めた。