平成30年7月15日(日)
山門施食会(盂蘭盆会)
 例年通り、新亡家の受付は玄関先に設けられている。総代さま方が若い和尚さんの手助けを借り、汗になりながら記録されている。
 本堂ではご詠歌が流れる中、受付を済ませた新亡家の皆さんが指定された席へ移動。一族なのか、円陣を組んで幼子をあやしながら待つ人もいる。開け放されてはいるが暑さには勝てず、扇風機を頼りに風の通り道を探る人もいる。やがて、張り出しに往来する和尚さま方も減り、ご詠歌のリンの音だけが響く。
 一時半、侍者らを従え井上貫道老師(掛川市少林寺ご住職)が入堂、礼拝をされ高座に上られる。
 静まる堂内。うなる扇風機の音だけがリズムを刻む。
 優しく、順々とお話を進める老師。うなづき頭を上下させる連動が波となって堂内を走る。分かり易く、やさしく語られる言葉ゆえ胸にすっと届き、理解できる。
 やがて、穏やかに結びの言葉を残されゆっくりと髙座から下りられた。お話に感動された声が随所で起こり、ざわめきと成っていく。
 本堂、西方の殿鐘が鳴り響く。促されるように遠くの鉦が鳴り、徐々に大きく本堂に届く。ふたたび静まる堂内。
 

それぞれの想い念じ、掌を合わせ、祈る
 導師の文元方丈が入堂。焼香、五体投地の礼拝をされる。案内の声に従い、新亡家をはじめ堂内の檀信徒も掌を合わせ、三拝。法要に入る。
 献湯菓茶(ご本尊様に蜜湯、菓子、茶をささげる)を終え、経題に従って読経する。
 お経の後、ご詠歌の♪寝ても覚めても…が詠われ、精霊棚に対面する位置に導師が移る。他の僧侶もそれに従う。
「山門施食会に移ります」の声がかかり、ふたたび読経をする。続いて導師は、檀信徒をはじめ三世十方法界の万霊、そして東日本大震災の犠牲者への供養を告げる。経を挟み、満を持して新仏の戒名を奉読、新亡家の身内は読み上げをじっと聴き入る。
 引き続いての読経の中、案内に従い新亡家のご家族から精霊棚に向う。水を手向け、掌を合わせご先祖さまに祈り、法要は終了した。
 

薄暮の中、精霊をお送りする
 夕方七時、方丈さまはじめ僧侶が山門前に出座、精霊送りの法要が営まれた。薄暮から始まり夜の帳がおりて法要は終る。
露店の灯が鮮やかに目に映り、子供たちの関心もいやがうえにも高まる。「かうぅ!」
「買わない!」…ご先祖さまの手前、邪険にもなれず親と子のバトルは長引きそうだ。